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医療関係者へのお知らせ

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【大腸癌医療:No.16】直腸温存を目指した臨床試験 ENSEMBLE試験 その2

2023.01.16

Osaka General Medical Center, Department of Gastroenterological Surgery 大阪急性期・総合医療センター 消化器外科 CONTACT ACCESS 患者さんとご家族へ FOR PATIENTS 診療情報 OUR GROUP 当科のご紹介 ABOUT US 医療関係者の方へ FOR MEDICAL レジデント募集 RECRUIT image-cover賀川義規 手術室 大阪急性期・総合医療センター 消化器外科 大腸癌 大腸がん Yoshinori Kagawa ロボット手術 ISR 肛門温存 da Vinici ダビンチ 名医 大阪 関西 近畿 我々の目指す医療 Home > 診療情報 > 下部消化管外科 > 我々の目指す医療 [最終更新日 : 2022年9月19日] 大腸癌 大腸がん 結腸癌 結腸がん 直腸癌 直腸がん コロレクくん ロボット手術 大阪 消化器外科 ランキング 腹腔鏡手術 目指す医療 われわれ大腸がんケアチームは、すべての患者さんとご家族に「安心・満足」頂ける治療が提供できるように心がけております。皆様が少しでも安心して治療を受けられる事、また1日も早くこれまでの生活にもどって頂ける事を切に望んでいます。 Vision ● 世界の新しいの大腸がん医療を提供する ● 個々の患者さんに応じた治療を実践する Mission ● ひとり、ひとりの患者さんとご家族の安心と満足のいく医療を提供すること ● 先生に出会えて良かった(Happy to meet you, Dr.)と言ってもらえる医療を提供すること  「安心・満足」 我々が考える大腸がん治療の大原則は、患者さんとご家族の安心・満足にこだわった治療を提供することです。 出会えて良かった(Happy to meet you, Dr.)と言っていただけるような医療を心がけます。 化学療法の個別化医療だけでなく、手術の個別化医療を目指します。 1.体にやさしい治療 2.病状に合わせた治療 3.体力に合わせた治療 肛門温存・直腸温存(臓器温存)を目指した臨床試験

今回は実行中の臨床試験についてご紹介します。

当センターでは、進行直腸癌(ステージII・III)に対してTNT(total neoadjuvant therapy)で、肛門温存・直腸温存(臓器温存)を目指した臨床第3相試験(ENSEMBLE試験)を実施しています。

国立がん研究センター東病院、国立がん研究センター中央病院、九州大学病院、慶應義塾大学病院、大阪大学医学部附属病院、名古屋大学医学部附属病院、 がん研究会有明病院、九州がんセンター、神奈川県立がんセンター、東京都立駒込病院、横浜市立大学附属市民総合医療センター、札幌医科大学附属病院、 大阪医療センター、大阪急性期・総合医療センター、岐阜大学医学部附属病院、倉敷中央病院、横須賀共済病院、横浜市立大学附属病院、九州医療センター、 産業医科大学病院、日本医科大学付属病院、北里大学病院 多施設共同ランダム化第3相試験 TNT: 短期RT+2剤併用にたいsて短期RT+3剤併用の優越性を検証する MRIのコンサル委員会を併設 臓器温存を含めた無病生存期間 (Organ-preservation adapted DFS) 局所進行直腸腺癌 T3-4aN0, TanyN1-2 ≤ AV 12cm 前治療なし PS 0-1(70歳以上はPS 0) UGT1A1野生型 or シングルヘテロ 既知のMSI-Hは除外 割り付け調整因子 cT2-3 vs cT4 cN0 vs cN+ AV ≥5cm vs 世界の治療開発に追いつく。日本でのTNTによる臓器温存の標準化 jRCTs031220342 / NCT05646511

近年、局所進行直腸癌(ステージII/III)に対して、再発(遠隔転移と局所再発)抑制を目的に標準治療の一つとして、手術前に薬物療法および放射線療法を行うTNTが行われており、ヨーロッパのESMOガイドラインや米国のNCCNガイドラインでも推奨された治療です。一方、我が国の大腸癌治療ガイドラインでは、TNTや術前化学放射線治療についての言及はなく、欧米と比較し我が国の直腸癌治療は後塵を拝しています。

TNTが注目されている理由としては、遠隔再発抑制効果に加え、局所制御も良好であり、TNTが奏効したcCR(clinical Complete Response)例、nCR(near CR)例については非手術管理(NOM: Non-Operative Management)により手術を回避し、直腸や肛門を温存しながら根治を目指すことが期待でるようになっています。アメリカのメモリアル・スローンケタリン キャンサーセンターを中心に実施されたOPRA試験では、TNT後のcCR例では約80%、nCR例では約50%の患者さんが、3年間の直腸・肛門温存(臓器温存)が可能(総じて直腸癌患者の2人に1人で臓器温存が可能)であり、TNTにより直腸癌患者の予後とQoLの改善が期待できるとされています(引用文献1)。我が国でTNTの安全性と有効性が検証された第II相試験、ENSEMBLE-1試験で、安全性および忍容性は確認されたが、まだまだ我が国において、臓器温存を行うNOMの臨床導入は遅れており、NOMを含めた直腸癌の治療体制の構築が課題となっています。

これらの課題を解決するために、SCRUM-Japan研究グループでは、局所進行直腸癌に対するTNTとして、短期放射線療法と全身薬物療法であるCAPOX(カペシタビン+オキサリプラチン)に対して、短期放射線療法とより強力な全身薬物療法であるCAPOXIRI(CAPOX+イリノテカン)の優越性を検証する第III相試験、ENSEMBLE試験が進行中であり、本試験はグローバルと肩を並べる臨床試験となっています。

ただ、これまで報告された臨床試験においても、TNTが全ての患者さまに奏効するわけでなく、中にはiCR(incomplete CR)となる患者さまが存在しているのも事実です。我々は、診断時(治療前)の生検検体を用いて、DNAやRNAなどのマルチオミックス解析によるプロファイリングとCT、MRI、大腸内視鏡の画像データを統合したAI解析によってTNTの効果を予測できるバイオマーカーの確率を目指しています。そして、NOMによる臓器温存が可能な症例を適切に選別すできるような医療を目指しています。

TNTは、本邦のガイドラインには記載されておらず、まだまだ治療開発中の治療法になっています。したがって、臨床試験として実施すべき新規治療であります。直腸癌に対してTNTをご希望の患者さまがおられましたら、ENSEMBLE試験の実施医療機関にお問合せください。

【大腸癌医療:No.15】直腸温存を目指した臨床試験 ENSEMBLE試験 その1

本臨床試験は、「日経メディカル」や「がんなび」でも紹介されています。また、jRCT (jRCTs031220342)やClinicaltrials.gov(NCT05646511)でも情報公開されています。ご確認ください。

実施医療機関
国立がん研究センター東病院
国立がん研究センター中央病院
九州大学病院
慶應義塾大学病院
大阪大学医学部附属病院
名古屋大学医学部附属病院
公益財団法人がん研究会 有明病院
独立行政法人国立病院機構 九州がんセンター
地方独立行政法人 神奈川県立病院機構 神奈川県立がんセンター
独立行政法人東京都立病院機構 東京都立駒込病院
横浜市立大学附属市民総合医療センター
札幌医科大学附属病院
独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター
地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪急性期・総合医療センター
岐阜大学医学部附属病院
公益財団法人大原記念倉敷 中央医療機構 倉敷中央病院
国家公務員共済組合連合会  横須賀共済病院
横浜市立大学附属病院
独立行政法人国立病院機構 九州医療センター
産業医科大学病院
日本医科大学付属病院
北里大学病院

 

引用文献

1 Garcia-Aguilar J, Patil S, Gollub MJ et al. Organ Preservation in Patients With Rectal Adenocarcinoma Treated With Total Neoadjuvant Therapy. J Clin Oncol (2022).

 

地域に根ざした大腸癌シリーズ

【大腸癌医療:No.1】我々の目指す大腸癌医療

大阪急性期・総合医療センター 消化器外科 地域に根ざした大腸癌 医療大阪急性期・総合医療センター 消化器外科 下部消化管チーム ミッションとビジョン われわれ大腸がんケアチームは、すべての患者さんとご家族に「安心・満足」頂ける治療が提供できるように心がけております。皆様が少しでも安心して治療を受けられる事、また1日も早くこれまでの生活にもどって頂ける事を切に望んでいます。

 

【大腸癌医療:No.2】大腸癌医療の大原則

地域に根ざした大腸癌治療

 

【大腸癌医療:No.3】大腸癌と地域連携

大阪急性期・総合医療センター 消化器外科 地域に根ざした大腸癌 医療かかりつけ医と密に連携 術後の採血検査はかかりつけ医で 画像検査や採血検査の情報提供を行います

 

【大腸癌医療:No.4】大腸がんにならないために 出来ること7つ

【大腸癌医療:No.5】大腸癌は早期発見が大切です

【大腸癌医療:No.6】大腸癌の症状

 

【大腸癌医療:No.7】大腸癌の発生は粘膜から

大腸癌の発生は粘膜から がんは粘膜からでてきます。粘膜って、実は皮膚と同じで常に細胞が生まれ変わっています。 ねんまくの細胞は、コピーされて、どんどん新しい細胞が生まれてるのです。 知ってました? このコピーに誤りが生じる。 もう少し詳しくいうと遺伝子にキズが生じる。 そして、勝手に増える細胞が出てきます。 最初は小さなポリープですが、いくつかのキズが重なってくると深くなったり、転移したりするようになります。

【大腸癌医療:No.8】大腸がん検診

大腸がん検診、がん検診

【大腸癌医療:No.9】ぜひ誕生日検診を

自分へのプレゼント 誕生日の月にはがん検診を受けましょう! ぜひ誕生日検診を かかりつけ医や取り扱い医療機関にご相談ください 詳しくはHPへ

 

【大腸癌医療:No.10】大腸がんのステージ別5年生存率

【大腸癌医療:No.11】大腸癌の診断方法

注腸造影 検査 内視鏡検査 大腸がん検診 (便潜血検査) で陽性 CT検査 MRI検査 超音波(エコー)検査 PET検査 遺伝子検査 (RAS/BRAF/MSIなど) 腫瘍マーカー (血液)検査 病理検査 症状がある (血便、便秘、下痢、腹痛 など) 血液検査 心電図 レントゲン検査 呼吸機能検査 大腸癌研究会 編. 患者さんのための大腸癌治療ガイドライン

【大腸癌医療:No.12】大腸癌の診断方法

大腸癌のステージの決定方法 大腸がんのステージは、深さ、リンパ節、肺や肝臓への転移で決まります。 腸の壁には、粘膜と腸を動かす筋肉、薄くて強い膜である漿膜からなっています。 漿膜っていうのは、わかりやすくいうとソーセージの皮ですね。 この3つでがんの深さが決まってきます。 転移は、主に、リンパの流れ、わかりやすくいうとリンパ節、血流のながれ、肝臓や肺、おなかの中に直接広がる腹膜があります。 ステージはこの3つで決まってきます。 肝臓や腹膜などの転移があれば、ステージ4 リンパ節転移があれば、ステージ3 リンパ節転移がなければ、ステージ1または2となります。

【大腸癌医療:No.13】大腸癌の診断方法

Stage ステージ 大腸癌 大腸がん 化学療法 抗がん剤 手術 緩和医療 ステージ別治療法 大腸癌の治療はステージによって決まります。 ステージ0: 内視鏡治療 ステージ1: 内視鏡治療または手術治療 ステージ2: 手術治療と補助化学療法(ハイリスクに対して) ステージ3: 手術治療と補助化学療法 ステージ4: 化学療法や放射線治療

【大腸癌医療:No.14】大腸癌の発生部位

地域に根ざした大腸癌医療 医療スタッフのための大腸癌サイト 頻度 地域連携 出やすい症状 大腸癌にならないためにできること 大阪急性期・総合医療センター 消化器外科 賀川義規 ロボット手術 大阪大学