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肥満・糖尿病外科

[最終更新日 : 2021年3月1日]

当院における肥満・糖尿病外科専門医

みなさん、初めまして。当院で、減量・代謝改善手術執刀を担当している、宮﨑安弘と申します。

わたしはこれまで大阪大学消化器外科勤務時代を含めて、2010年から2019年の間に、約100件の本手術を担当してまいりました。本手術は、高度肥満及びそれに伴うメタボリックシンドロームなどに悩まれている患者さんにとって、非常に大きな恩恵(健康寿命の延長)をもたらすことがわかっています。

“手術は怖くないのかな?”“手術したら全然食べられなくなるのかな?”など、インターネットの検索だけではわからないことがまだまだ多い手術かと思います。本サイトに記載されている内容をみていただき、肥満で苦しんでいる状況から何とか脱したい!と思われましたら、是非、当院の肥満症外科治療外来を受診ください。専門チームで、患者さんの治療に全力で当たらせていただきます。

(学会認定・資格)
日本肥満症治療学会:評議員/外科部会中央委員/肥満外科治療ガイドライン策定委員会ワーキンググループ/教育委員会委員/学術研究推進委員/肥満外科手術認定制度委員

宮崎安弘

肥満に対する外科治療とは?

BMI肥満は世界規模の流行病といわれるほど、全世界的に患者数が増加しつづけています。わが国においても、肥満の指標であるBody mass index(BMI:ビーエムアイ=体重(kg)÷身長(m) ÷身長(m))が25kg/㎡以上となる肥満人口は、厚生労働省統計情報・白書によると、2016年時点で、男性は約3人に1人(30.5%)、女性は5人に1人(20.0%)と少なくありません。さらに、BMI35以上の高度な肥満は0.2~0.3%とされ、欧米と比べると少ないものの、男子大学生を対象とした調査では0.3~0.66%がBMI35以上という報告があり、体重が100kgを超えている人も珍しくなくなってきました。肥満は糖尿病、高血圧、脂質代謝異常などの生活習慣病の誘因となり、動脈硬化を高率に引き起こすメタボリックシンドロームの基盤となります。つまり、肥満を放置しておくと、さまざまな病気を抱えることになり、生活の質(QOL=quality of life)が低下のみならず、健康寿命を短くしてしまいます。そのため、肥満に対しての治療が必要ですが、その基本は食事療法などの内科的治療です。しかし、高度の肥満患者(BMI≧35kg/㎡)に対しては、内科的治療が長期的にみれば不成功に終わることが多いということがわかっています(リバウンド)。

このような高度肥満症(BMIが35以上)の方に対して、海外では外科手術(「減量・代謝改善手術」といいます)が標準治療として積極的に行われており、その安全性、良好な治療成績―体重減少、リバウンドの回避、肥満関連合併症、特に糖尿病の改善など、が報告されています。

ですから、減量手術は美容整形手術などで行われている脂肪吸引他の美容を目的とした手術とはまったく異なり、より健康で充実した人生を送るために、つまりQOLを低下させないために行われる手術ということになります。
減量・代謝改善手術を受けられる患者さんが、笑顔で元気な質の高い生活を取り戻せるように・・

そのような治療を心がけます。

本邦における減量・代謝改善手術

現在、保険診療として認められている手術は、図のように胃の外側を切除して、細くする(スリーブ状にする)手術(腹腔鏡下スリーブ状胃切除術)です。
腹腔鏡下スリーブ状胃切除術

減量・代謝改善手術の適応①

肥満の方であれば、どのよう方でも外科治療を受けられるわけではありません。現在の日本(2020年10月現在)では、下記を満たす患者さんが保険診療として、減量・代謝改善手術を受けることができます。

保険診療適応

  1. BMIが35以上
  2. 6か月以上の内科治療によっても十分な効果が得られない
  3. 糖尿病、高血圧、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群のいずれかを合併している

あるいは

  1. BMIが32.5~34.9
  2. 6か月以上の内科治療によっても十分な効果が得られない
  3. HbA1cが8.4%以上の糖尿病の患者
  4. 高血圧症(6か月以上、降圧剤による薬物治療を行っても管理が困難(収縮期血圧160㎜Hg以上)なものに限る。)、脂質異常症(6か月以上、スタチン製剤などによる薬物治療を行っても管理が困難(LDL140㎎/dL以上又はnon-HDL170㎎/dL以上)なものに限る)又は閉塞性睡眠時無呼吸症候群(AHI≧30の重症のものに限る)のうち1つ以上を合併している

減量・代謝改善手術の適応②

上記の基準を満たせば、手術を保険で受けられるというものでは、決してありません。あくまで、内科的治療をしっかりと行われたうえでの、手術適応の有無を判断します。この手術は決して楽をしてやせるための手術ではありません。患者さんの命を守るための手術であることを理解してください。手術をすれば簡単にやせられるというわけではなく、一番大事なことは、患者さん自身が自分で自分のライフスタイルを変えていこうという努力です。手術はほんの短期間の「きっかけ」に過ぎません。その後の栄養管理や精神面でのケアが手術と同じくらい重要になってきます。

よって、当科においても、

  1. 保険治療対象の患者さんのみを手術対象とし、
  2. 内科的治療(薬物療法、栄養指導)が適切に行われ、
  3. その指示を確実に遵守し、減量の効果が認められたうえで、
  4. 当院肥満症治療チームが手術適応ありと判断した場合

上記すべてを満たした場合のみ、手術を予定することとなります

“患者さんの希望、および、かかりつけの先生からの手術要請だけでは手術を決定することはできず、また、当院での内科的治療の結果および後述する肥満症治療ミーティングの手術適応会議の結果次第では、手術をお断りすることがあることを十分ご理解ください。

あくまで、減量治療の基本は内科的治療であり、手術をすればなんとかなる、手術をすれば食べてもよいといったものではございません。

当院におけるチーム医療・肥満症総合治療

高度肥満症の患者さんは、多くの悩みや問題を抱えているため(社会的問題・精神的問題・家庭環境ほか)、減量の内科的治療の実施や継続が難しく、また一旦減量が成功してもリバウンドしやすい傾向にあることがわかっています。そのため、減量・代謝改善手術を安全・確実に行うために、チーム医療が義務付けられています(肥満症治療学会)。

当院におけるチーム医療の特徴

肥満外科のチーム医療体制
各種高度専門医療を“チーム医療”として提供できます。【外科手術・血糖管理・心疾患治療管理・透析管理・精神疾患治療など】

また、各科と横の連携が密であり、肥満症治療ミーティングを定期的に開催するなど、安全・確実な治療を提供できる環境にあります。

定例カンファレンス 第1火曜日
外来症例、手術前後症例、問題症例の検討、症例共有、治療方針・手術是非の決定
臨時カンファレンス 随時開催
院内メールを用いた症例検討、治療方針相談、リアルタイムに患者治療方針を迅速に決定
院内紹介 産婦人科、形成外科など他科からの紹介〜ブリッジングサージェリー〜
術中体位の設定 安全な手術体位の設定 by 麻酔科医、手術室看護師、外科医
近隣開業医への治療紹介 阪南六区循環器セミナー、病診連携研修会(糖尿病ネットワーク)、万代消化器疾患フォーラム