[最終更新日 : 2023年2月18日]
がんゲノム医療とは
「がんゲノム医療」とは、「がん」の遺伝子を詳しく調べ、一人一人の遺伝子の変化に応じた治療などを行う医療です。最近の「分子標的薬」と呼ばれる抗がん剤はある特別な遺伝子変異によってその効果が異なることが知られています。がんの種類にもよりますが、治療選択に役立つ可能性がある遺伝子変異は約半数の患者さんに見つかります。
しかし、遺伝子変異があっても、使用できる薬がない場合もあり、がん遺伝子パネル検査を受けて、自分に合う薬の使用(臨床試験を含む)に結び付く人は、全体の8〜10%程度と言われています。適切な治療薬を適切な患者さんにお届けできるように、一人ひとりのがんの遺伝子の特徴をみて行う治療が実践できる時代になっています。
がん遺伝子パネル検査
当センターは、厚生労働省より「がんゲノム医療連携病院」の指定を受けており、がん遺伝子パネル検査を受けることが出来ます。
採取したがん組織からDNAを抽出して検査し、「がん細胞」に起きている遺伝子の変化を調べ、その特徴を知ることで、あなたに適した治療法を検討する検査です。がんの発生に関わる遺伝子の変異はひとつとは限らず、複数の遺伝子変異が関わっている場合があります。このような遺伝子を「がん関連遺伝子」とよびます。「がん遺伝子パネル検査」では、100種類以上のがん関連遺伝子の変異を一度に解析できるため、患者さんそれぞれのがんの特徴を詳しく知ることができます。
これまで複数の遺伝子変異を検査するには多くの時間が必要でしたが、技術の進歩により「次世代シークエンサー」とよばれる装置が登場したことで、短時間で一度に解析することが可能になりました。
リキッドバイオプシーでがん遺伝子変異を測定
2021年8月1日から保険診療として血液でもがんの遺伝子変異を測定できるようになりました。これまではがん組織(手術標本)を提出しておりましたが、十分ながん組織がない方、手術から何年も経って再発された方などは、血液でがんの遺伝子変異が測定できます。(詳細は担当医にご確認ください)
遺伝的背景と「がん」の関わり
一般的にがんの多くは、加齢やたばこ、食生活などの生活習慣や環境要因によって遺伝子に傷がつくことで発生します。こうした遺伝子の変化は次の世代に受け継がれることはありません。
このように、ほとんどのがんは遺伝しませんが、がんになりやすい変異が受け継がれる場合があります。多くのがんは生まれてから後に遺伝子に生じた変異が原因であり、次の世代に遺伝することはありません。ただし、生まれながらにしてがんに関わる遺伝子に変異があると、次の世代にその変異が受け継がれる、すなわち「遺伝する」可能性もあります。
がん遺伝子パネル検査では、治療に役立つ情報とは別に「遺伝性腫瘍」の可能性が判明することがあります。当センターにも遺伝カウンセラーによるカウンセリングを受けることができますので、担当医に相談ください。
検査の受け方
検査を受けるには
通院中の方は、各診療科でご相談ください。通院中でない方でも、検査を受けることができます。通院中の医療機関から地域連携室にご連絡ください。
費用
保険診療内で受けるがんパネル検査の場合は56万円(3割負担の場合、検査に168,000円)の検査費用がかかります。この他に初診料などが別途かかります。
検査期間
約1月かかります。検査結果は専門家会議を経て、主治医に連絡し、主治医から結果の説明を行います。
詳しくはこちらから
臨床試験と治験
リキッドバイオプシーで行うがんゲノム医療も臨床試験として実施しております。