[最終更新日 : 2021年3月28日]
胃がんについて
『胃』は、『食べる』ために最も重要な臓器であり、大きな胃がんがあれば食べられなくなり、また胃がんを治すために胃を切ると食事量は減少し、体重・筋力は低下してしまいます。このことは、患者さんの生活の質(Quality of life:QOL)の低下に直結します。
そこで当院では、胃がんの進行度だけではなく、患者さんの年齢や生活状況、食生活をかんがみた、患者さんごとのテーラーメイド胃外科治療を心がけています。
胃がん治療・胃切除を受けられる患者さんが、笑顔でいられるように・・
胃がんの治療方針
①すべての患者さんに安全な胃がん治療を
当院の理念は、「急性期医療から高度な専門医療まで、総合力を生かして良質な医療を提供する」ことであり、その非常に高い総合力については、当院ホームページ:診療のご案内、専門外来に記載の通り、大学病院に匹敵した専門医療部門が、内科・外科ともに存在します。さらに、診療科の横の連携は非常にスムーズです。
「高齢でも」「心臓が悪くても」「肺が悪くても」「肝臓が悪くても」「透析をしていても」「アレルギーやそのほか持病があっても」当院に来られたすべての胃がん患者さんに対し、診療科の垣根を超えた、チーム医療による持病の治療・管理ならびに安全な胃がん治療を提供します。
②あきらめない胃がん治療
残念ながら、かなり進行した状態で胃がんが見つかる患者さんは、現在でも少なくありません。そのような場合、たとえば胃がん治療ガイドラインでは、ステージ4であれば手術ではなく抗がん剤治療が推奨されています。しかし、上述した通り、大きな胃癌があれば食べられなくなり、体重・筋力だけではなく、QOLも低下し、十分な抗がん剤さえ行うことができません。
当院では、高度に進行した胃がん患者さんに対しても、患者さんの食事摂取・栄養状況・QOLを第一優先に考え、“食べるための手術”や“栄養改善のための治療”を提供します。また、近年は、めざましい抗がん剤治療の進歩のもと、たとえステージIVであっても抗がん剤が著効し、手術できる状態になることがあります。後述する当院でしか施行できないような③最先端治療や患者さんの状況に合わせた抗がん剤治療を行い、「あきらめない胃がん治療」を行っていきます。
③最先端治療の提供
当院は、全国でも有数の、胃がんに関する治験・臨床試験数が非常に多い病院です。治験とは、新規薬剤(未承認薬)が、国の承認を受けるために行われるものであり、ある一定の基準を満たした病院でのみ行われています。
また、臨床試験とは、たとえば胃がんに対する新しい治療法が出てきた場合、現存の標準治療と比較し、どちらが優れているかを判断するために行われる研究です。抗がん剤治療は、日進月歩で、次々と新薬が開発されています。われわれは、このような新薬を当院に来られた胃がん患者さんに届けるべく、今後も多くの治験に参加していきます。抗がん剤治療は継続して行うことが重要であり、当院は地域医療の一環として、先進医療を提供していまいります。
また、2020年より当院遺伝診療センターでは、がんゲノム医療として、遺伝子パネル検査が保険診療で行えるようになっています。
④がん診療拠点病院として
がん対策基本法(平成18年法律98号)に基づくがん対策推進基本計画(平成19年6月閣議決定)にのっとり、がん医療の質の保証と安全・安心の確保を図りつつ、地域医療機関の機能分担、役割分担を図ることを目的とした診療連携のためのツールとして「胃がん地域連携パス」を作成しました。早期胃がんの患者さんについては、手術後、患者さんがかかりつけのクリニックや医院の先生と連携を図っていますので、安心して当院で胃がん治療を受けていただければと思います。