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賀川義規 手術室 大阪急性期・総合医療センター 消化器外科 大腸癌 大腸がん Yoshinori Kagawa ロボット手術 ISR 肛門温存 da Vinici ダビンチ 名医 大阪 関西 近畿

大腸がんの治験・臨床試験

[最終更新日 : 2023年7月16日]

治験

当科ではさまざまな治験に参加しております。がん薬物療法の専門施設と共同で、未承認薬の開発を行っており、治療の選択肢を増やすことができます。

略称研究課題名登録状況
ART-123.PN101試験進行・再発大腸癌患者を対象にロイコボリン/5-フルオロウラシル/オキサリプラチン及びベバシズマブと併用したときのART-123の安全性及び忍容性を評価する二重盲検、プラセボ対照、ランダム化、用量漸増、多施設共同第1相試験 登録中
ONO-7913-04試験根治切除不能な進行又は再発の結腸・直腸がん患者を対象に、一次治療としてONO-7913、ONO-4538並びに標準治療であるFOLFOX及びベバシズマブ又はセツキシマブを併用する非盲検非対照試験登録中
NEXUS試験BRAF V600E変異型切除可能大腸癌遠隔転移に対する個別化周術期治療の医師主導治験登録中
Cyt-006原発性直腸癌における腹腔鏡下手術及び一時的人工肛門造設術を施行する患者を対象に、癒着防止吸収性バリア『Cyt006』の有効性及び安全性を検証する臨床試験登録中
COSMOS-CRC-03試験切除可能な遠隔転移を有する結腸・直腸がん患者を対象としたLUNAR-1の有用性を検討する医師主導治験登録中
ISO-CC-007 / AGENT試験進行結腸直腸癌患者を対象とした5-FU+オキサリプラチン+ベバシズマブ療法におけるarfolitixorin併用とロイコボリン併用の有効性を比較する無作為化並行群間多施設共同第III相試験登録終了
ONO-4578-02試験根治切除不能な進行又は再発の結腸・直腸がん患者を対象に、一次治療としてONO-4578、ONO-4538並びに標準治療であるXELOX及びベバシズマブを併用する非盲検非対照試験登録終了
ONO-4578-03試験治癒切除可能な局所進行直腸がんを対象に、術前化学放射線療法後の逐次治療(術前補助療法)としてONO-4578を単剤投与及びONO-4578とONO-4538を併用投与する非盲検非対照試験登録終了

臨床試験

当科では、大腸がんの治療を専門にしている病院が集まって新しい治療の開発に取り組んでいる臨床研究グループに参加しています。

特定臨床研究

略称研究課題名登録状況
ENSEMBLE局所進行直腸癌に対する全術前治療としての短期放射線療法とCAPOX療法に対し
短期放射線療法とCAPOXIRI療法の優越性を検証する
多施設共同ランダム化臨床第Ⅲ相試験 
登録中
TAS-102+Bevオキサリプラチン・ベバシズマブによる病勢コントロールが得られた進行再発結腸・直腸癌に対するTAS-102+Bevによる計画的維持投与(Switch Maintenance Therapy)の有効性と安全性に関する検討; 多施設共同第II相試験 Switch Maintenance Study登録中
TRESBIENStage II/III大腸癌根治切除後の補助化学療法中または治療後に早期再発した RAS 野生型かつ BRAF V600E 変異再発大腸癌患者に対するエンコラフェニブ ビニメチニブ セツキシマブ療法の有効性と安全性を探索する第 II 相試験登録中
TRIDENTEエンコラフェニブ・セツキシマブを含む併用療法の治療歴のあるBRAF V600E変異型の切除不能進行・再発大腸癌患者に対するエンコラフェニブ+ビニメチニブ+セツキシマブ併用療法リチャレンジの有効性と安全性を探索する第II相試験登録中
ENSEMBLE-2局所進行直腸癌を対象とした術前化学放射線療法ならびに術前化学療法の有効性・安全性を検討する臨床第II相試験登録終了
BAYONETエンコラフェニブ・セツキシマブを含む併用療法に不応となったBRAF V600E変異型の切除不能進行・再発大腸癌患者に対するエンコラフェニブ+ビニメチニブ+セツキシマブ併用療法の逐次投与の有効性と安全性を探索する第II相試験登録中
ENSEMBLE-1局所進行直腸癌を対象とした術前放射線療法ならびに術前化学療法後の根治切除(TNT療法)の有効性・安全性を検討する臨床第Ⅱ相試験登録終了
JCOG1901消化管・膵原発の切除不能進行・再発神経内分泌腫瘍に対するエベロリムス単剤療法とエベロリムス+ランレオチド併用療法のランダム化第 Ⅲ相試験登録終了
JCOG1805「再発リスク因子」を有するStage II大腸癌に対する術後補助化学療法の有用性に関するランダム化第III 相比較試験登録終了
JCOG1612局所切除後の垂直断端陰性かつ⾼リスク下部直腸粘膜下層浸潤癌(pT1癌)に対するカペシタビン併⽤放射線療法の単群検証的試験登録終了
JCOG0903臨床病期II/III 肛門管扁平上皮癌に対するS-1+MMC を同時併用する根治的化学放射線療法の臨床第I/Ⅱ相試験登録終了
RAINCLOUD補助化学療法としてのフッ化ピリミジン+オキサリプラチン併用療法に不応となった再発結腸・直腸がんにおけるFOLFIRI+Ramucirumab併用療法の第Ⅱ相試験登録終了
QUATTRO-II「切除不能な進行・再発大腸癌に対する初回治療としての CAPOXIRI+ベバシズマブ療法とFOLFOXIRI+ベバシズマブ療法の多施設共同ランダム化第II相臨床研究」登録終了
PURSUIT抗EGFR抗体薬の治療歴のあるRAS/BRAF V600E野生型の切除不能進行・再発大腸癌患者に対するctDNA解析に基づくパニツムマブ+イリノテカン療法リチャレンジの有効性と安全性を探索する第II相試験登録終了
JFMC46-1201再発危険因子を有するStage II大腸癌に対するUFT/LV療法の臨床的有用性に関する研究登録終了
JCOG1018高齢切除不能進行大腸癌に対する全身化学療法に関するランダム化比較第Ⅲ相試験登録終了
JCOG0603大腸癌肝転移切除後患者を対象としたフルオロウラシル/I-ロイコボリンとオキサリプラチン併用補助化学療法(mFOLFOX6)vs手術単独によるランダム化II/III相試験登録終了

個別化医療の臨床研究

略称研究課題名登録状況
MONSTAR-2進行固形悪性腫瘍患者に対するAIマルチオミックスを活用したバイオマーカー開発の多施設共同研究登録中
GOZILA結腸・直腸癌を含む消化器・腹部悪性腫瘍患者を対象としたリキッドバイオプシーに関する研究登録中
RegistrySCRUM-Japan疾患レジストリを活用した新薬承認審査時の治験対照群データ作成のための前向き多施設共同研究 SCRUM-Japan Registry登録中
GALAXY根治的外科治療可能の結腸・直腸癌を対象としたレジストリ研究 (GALAXY trial)登録中
VEGA血液循環腫瘍 DNA 陰性の高リスク Stage II 及び低リスク Stage III 結腸癌治癒切除例に対する術後補助化学療法としての CAPOX 療法と手術単独を比較するランダム化第 III 相比較試験 (VEGA trial )登録中
MONSTAR治癒切除不能な固形悪性腫瘍における血液循環腫瘍DNAのがん関連遺伝子異常及び腸内細菌叢のプロファイリング・モニタリングの多施設共同研究(SCRUM-Japan MONSTAR-SCREEN)登録終了
REMARRY抗EGFR抗体薬の治療歴のあるRAS/BRAF V600E野生型の切除不能進行・再発大腸癌患者を対象としたctDNA解析によるRAS遺伝子変異モニタリングの臨床的有用性を評価する観察研究登録終了
COSMOS大腸癌 ・ 大腸進行腺腫患者の血液循環腫瘍D NAのゲノム ・ エピゲノム統合解析登録終了
Ukit進行再発大腸癌におけるAngiogenesis Panelを検討する多施設共同研究:GI-SCREEN CRC-Ukit登録終了

観察研究

略称研究課題名登録状況
BRANCH固形がん患者及び血縁者における生殖細胞系列遺伝子変異同定の有用性を評価する観察研究登録中
MONSTAR-2進行固形がんのがん組織および血液中の
DNA・RNA・タンパク質の異常のプロファイルを網羅的に解析する研究
登録中
OSERO切除不能進行再発大腸癌における後方治療の前向き観察研究(OSERO study)登録終了
OSNApStageⅡ大腸癌に対するOSNA法によるリンパ節微小転移診断意義の検討登録中
BEETSBRAF変異型大腸癌に対するBRAF阻害薬併用療法のバイオマーカー探索を含めた観察研究(BEETS試験): JACCRO CC-18登録中
RASMEXRAS遺伝子変異型腫瘍を有する切除不能進行・再発大腸癌患者における化学療法後の血液中RAS遺伝子変異を評価する観察研究(JACCRO CC-17)登録中
SCRUM-Japan RegistrySCRUM-Japan 疾患レジストリを活用した新薬承認審査時の治験対照群データ作成のための前向き多施設共同研究登録中
Dialリンチ症候群の拾い上げ及び遺伝子診断に関する多施設共同研究登録中
Pmab副作用 観察研究「進行・再発の結腸・直腸癌におけるパニツムマブ療法の皮膚毒性に対する予防療法の検討」登録終了
JCOG1007(iPACS)治癒切除不能進行大腸癌に対する原発巣切除の意義に関するランダム化比較試験登録終了
ストマ試験直腸がん手術におけるdiverting loop ileostomyの前向き観察研究登録終了
JCOG1506A1多施設共同ランダム化比較試験に参加したStage II/III 進行大腸癌患者を対象とした予後予測および術後補助療法の適正化を目的とした大規模バイオマーカー研究登録終了
抗菌糸Study下部消化管手術における筋膜閉鎖法についての前向き観察研究(抗菌糸と非抗菌糸の比較)登録終了
JCOG1107治癒切除不能進行大腸癌の原発巣切除における腹腔鏡下手術の有用性に関するランダム化比較第Ⅲ相試験登録終了
Cancer-VTE Registryがんと静脈血栓塞栓症の臨床研究:多施設共同前向き登録研究 Cancer-VTE Registry登録終了
内視鏡手術データベース内視鏡外科手術の多施設データベース構築登録終了

OGSG:大阪消化管がん化学療法研究会(Osaka Gastrointestinal cancer chemotherapy Study Group)

  • 関西を中心として臨床試験グループ

OGSGの情報はこちら

大阪大学消化器外科共同研究会 大腸疾患分科会

  • 大阪大学消化器外科学を中心として臨床研究グループ

ENSEMBLE-1

  • 局所進行直腸がんに対する強力な術前治療(TNT)
  • 主な目的は、長期予後の改善(局所再発、遠隔転移、生存)です。
  • 著明な奏効が得られた場合は、手術をしないで直腸温存し経過観察(非手術管理:NOM)を行うことができます。
  • TNTとNOMは、開発中の治療です。したがって、臨床研究として実施することが望ましいです。
  • 【背景】海外では、局所進行直腸癌に対する治療として、術前に局所制御だけでなく遠隔転移の制御を行うことで長
期予後の改善を目的にTotal neoadjuvant therapy (TNT)の第3相試験が実施され、その有用性が報告されている。日本
におけるTNTの安全性と実施可能性を検討するために特定臨床研究として前向き多施設共同臨床第2相試験、
ENSEMBLE-1試験(jRCTs051200113)を実施したのでその短期成績を報告する。【対象】主な適格基準は20歳以上、肛
門縁から12cm以内、診断時cT3-4N0M0またはTanyN+M0で根治切除が可能なLARCを対象とした。【方法】短期放射
線治療5Gy×5回(SCRT)+CAPOX 6コース後のTMEをプロトコール治療とした。術前治療後の評価でcCRが得られた場
合は、Non-operative management(NOM)を許容した。主要評価項目はpCR割合。閾値を5%、期待値を28%とし、か
つ有意水準を片側5%、検出力を80%以上として、予定登録数を27例と設定した。主要な解析ではTMEを分母とした
pCR割合、並びに二項分布に基づく正確な90%信頼区間を算出した。【結果】2021年1月から2022年1月までに5施設
から30例が登録された。性別(男:女, 26:4)、年齢中央値は62.5歳(範囲: 44歳-74歳)、登録時の占居部位(Ra:Rb,
11:19)、cT因子(T2:T3:T4, 3:23:4)、cN因子(N0:N1:N2, 13:13:4)であった。SCRTの完遂率100%、CAPOXならびに
TNTの完遂率は83.3%であった。TMEは20例、NOMは7例に実施された。術式(LAR:ISR:APR/Hartmann, 15:3:2)であ
り、根治度Aは20例(100%)、組織学的効果判定は(Grade1:2:3, 8:6:6)であった。pCR割合は30%(6/20例, 90%信頼区
間14.0%-50.8%)であり、事前に設定した閾値pCR割合5%を上回った。pCR+NOM割合は、43.3%(13/30例, 90%信頼
区間27.9%-59.8%)であった。Grade III (CD分類)以上の術後合併症は5%、Grade3(CTCAE v5.0)以上の主な有害事象は
下痢が23.3%、好中球減少が23.3%であった。治療関連死なし。観察期間は中央値15.6ヶ月(範囲: 10.5ヶ月-22.8ヶ月)
であり、再発ならびにNOM群での再増大は認めていない。【結語】本邦で初めてのLARCに対するTNTの前向き多施
設共同臨床第2相試験での安全性と実現可能性を報告した。主要評価項目であるpCR割合を達成した。有害事象は下痢
と好中球減少の発生がやや高く、注意が必要である。現在進行中の第3相試験であるENSEMBLE試験
(jRCTs031220342 / NCT05646511)において、TNTならびにNOMの安全性と有効性を検証していく。

MONSTAR screen

  • 全国のがん専門病院31施設が参加
  • 広範な固形がんを対象に、がんの遺伝子変化を調べる産学連携プロジェクト
  • 患者さんへの負担が少ない血液を用いた遺伝子解析技術(リキッドバイオプシー)を導入
  • がんの発生や薬剤の有効性との関係が示唆されている腸内細菌叢の(経時的)解析

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Circulate-JAPAN

  • 外科治療が行われる大腸がん患者さんに対し、リキッドバイオプシーによるがん個別化医療の実現を目指すプロジェクト。
  • 国内外約150施設の協力を得て、見えないがん(術後微小残存病変*1)を対象にした大規模な医師主導国際共同臨床試験を実施します。
  • 大腸がん患者さん約2,500名を対象に、患者毎にがん由来の遺伝子異常を同定して、患者さん個々のオリジナル遺伝子パネル*2を作製し、定期的にその遺伝子異常が存在するか調べます。
  • 見えないがんに対してctDNA*3を検出するリキッドバイオプシーによる再発リスク評価の臨床的有用性が証明できれば、術後補助化学療法の省略または減弱、再発の早期発見等、より適切な医療の提供の実現めざしています。

Circulate-JAPANの情報はこちら

がんゲノム医療

がんゲノム医療では、がん遺伝子パネル検査によって明らかになる患者さんのがん遺伝子の情報に基づいて、一人ひとりにふさわしいがんの治療を行います。

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