[最終更新日 : 2023年7月16日]
手術の流れ
大腸がんの術前から術後までの流れをご説明します
当科では初診時から治療開始までをスムーズにおこなうためにエクスプレス外来を導入しています。
入院中はクリニカルパスを導入にスムーズな診断、治療、そして早期社会復帰を目指します。
術前検査
- 大腸内視鏡検査 : 腫瘍の部位、大きさ、そのほかの病変の有無を確認します
- 組織生検検査 : 顕微鏡で腫瘍組織を確認します
- 造影CT検査 : 手術前に全身検査(主に肺、肝臓、原発巣、リンパ節)
- 腫瘍マーカー : CEA, CA19-9
- 全身状態の精査 : 心電図、肺活量、胸部レントゲン
- MRI検査 : 直腸がんの場合は追加します
- PET検査 : 術前に全身検索が必要な場合に追加します(必須ではありません)
手術予定日
初診日にある程度の日程はお伝えします。
手術待機は2〜4週後
入院の手続きについてはこちらをご覧ください。
入院日
基本的には手術日の1日前の入院になります。
(*現在、コロナウイルスのPCR検査を入院前日にお願いしております。)
入院日に、病棟のオリエンテーションや術前と術後の流れについてご説明します。
平日(月曜日-金曜日)の朝7時30分から、入院中の患者さん全員を大腸外科スタッフみんなで回診してます。何でもご相談ください。
手術日
- 午前開始の場合、8時30分入室です。午後開始の場合は、午前の手術終了後になります。
- 入室後は全身麻酔の準備が始まります。
- 現在、手術の立ち合い(付き添い)をご遠慮いただいております。
- 術後の手術説明は担当医より電話連絡させてもらいます。電話に出られる状況でお待ちください。
入院後の経過
結腸がんで5日目退院、直腸がんで7〜10日目退院を目指しています。
クリニカルパスを導入しています。
内容は、入院後に担当看護師より説明があります。
クリニカルパスでの経過(*病状によって異なることがあることをご了承ください)
- 手術前日
- 食事は朝まで食べて頂きます。
- その後、術前準備を進めていきます。
- 夕方から眠前にかけて下剤を内服してもらいます。
- 寝つきが悪い場合は、睡眠導入剤がご利用できます。
- 手術当日 術前
- 飲水は手術3時間前まで可能です。
- 歩いて手術室まで行きます。
- 手術当日 術後
- 術後4時間後から飲水できます。
- 疼痛コントロールを点滴で行います。
- ドレーン(細くて柔らかい管)が腹腔内や肛門内に留置されている場合があります。(主に直腸がんの場合)
- 尿道バルーンカテーテル(細長い管)が留置されています。
- ベッド上で寝返りなどして、楽な体制でお休みください。
- 痛みは我慢しないようにしましょう。
- 鎮痛薬を準備してますので、遠慮なくスタッフにお伝えください。
- 手術後1日目
- 離床がはじまります。最初は看護師と一緒に歩いてみます。
- 歩行できたら尿道バルーンカテーテルを抜去します。
- 肺炎や腸閉塞などの術後合併症を予防するためにも、歩くことは重要です。
- 座っている時間を作っていきます。
- 術後2〜5日目
- 食事を開始します。食事が取れるようになると点滴がなくなります。
- 疼痛コントロールを行います。経口摂取が可能であれば、内服での鎮痛薬を処方します。
- 合併症が起こっていないか経過観察していきます。
- 創部は基本的に観察のみで消毒はしません。
- ドレーン(細くて柔らかい管)が入っている場合、経過をみて抜去していきます。
- 術後の痛みについて
- 腹腔鏡手術やロボット手術(傷の小さな手術)が行われるようになってから、術後の痛みは少なくなりました
- 術後、点滴で持続的に鎮痛薬を使います。
- 創部の痛みは約1週間程度で軽減していきます。
- 術後の痛みの強い時期は、点滴や内服薬を使って痛みを軽減に努めますのでご安心ください。
- 鎮痛薬について遠慮なくスタッフにお申し付けください。
- 術後処置
- 創部は基本的に抗菌作用のある吸収糸で縫合してます。このため、抜糸は不要です。
- ドレーン(細くて柔らかい管)は、絹糸で固定されています。こちらを抜去する際、抜糸が必要です。
- 食事について
- ゆっくりよく噛んで食べましょう。
- 食べ過ぎないようにしましょう。
- 入院中は半分から八分目ぐらいがちょうどです。
- 術後リハビリ
- できるだけ、座っている時間を作りましょう。
- よく歩きましょう。(トイレ歩行、病棟を朝昼晩と1日3周など、目標を作って)
- 深呼吸や口すぼめ呼吸をして肺を広げましょう(肺炎予防になります)
- よく噛んで食べましょう。(顎の筋肉のリハビリになります)
- 背伸びするなど、軽いストレッチをしましょう。
- 合併症を予防するためにも頑張ってリハビリしてください。
- 術後の内服薬
- 大腸の手術を受けたために定期的に飲まないといけない薬はありません。
- 整腸剤などのお薬は必要ではありません。
- もともと内服されているお薬は病状に合わせて術後に再開していきます。
- 入院中の内服薬は病院で処方します。
- 術後(入院中)の注意点
- 術後リハビリで合併症予防を行いましょう。
- 排便はできるだけ自然にしましょう。
- お腹に力を入れて気張ったり、息んだりするのは避けましょう。
- 術後1週間は便をもらさないように肛門を強くしめたりすることは避けましょう。(腸と腸のつなぎ目に余計な圧力がかかってしまうことがあります。)
- 特に、普段からいきんで排便する習慣がある場合はご注意ください。
術後の入院期間は、結腸がんの場合で5〜7日、直腸がんの場合で7〜14日です。
平日(月曜日-金曜日)の朝7時30分からは、入院中の患者さん全員を大腸外科スタッフみんなで毎日回診してます。
入院中に疑問点などあれば、医師、看護師、メディカルスタッフにお声かけください。
入院中にご家族への説明が必要な場合は、電話で連絡させていただきます。
(*現在、コロナウイルス感染症に対する蔓延防止対策のため入院中の面会ができなくなっております。)
大腸手術を受ける患者さん用パンフレット
大腸手術を受ける患者さん用パンフレットを初診時にお渡ししております。術前や術後の流れ、合併症の予防や退院後の生活について詳しく書いてあります。是非、ご利用ください。
大腸がんの治療のページからダウンロードできます。
退院後の生活
術後の状況によって、治療継続のために制限が必要なこともあるかもしれませんが、一般的なことについてお伝えします。
- 軽い運動から始めて構いません。
- 激しい運動は1ヶ月ほどたってからにしましょう。
- お風呂は入って頂いて大丈夫です。
- 軽くやさしく創部をこすっても大丈夫です。
- 退院日翌日以降、仕事も体調に合わせて可能です。
- 何かあれば、外科外来または時間外受付に連絡ください (TEL:代表 06-6692-1201)
退院後の食事
- 基本的には何を食べて頂いても構いません。
- ゆっくりよく噛んで食べましょう。
- 栄養士による食事指導をご希望される場合はお申し出ください。(予約が取れます)
病理検査について
手術で切除した大腸とリンパ節は、病理検査に提出し顕微鏡で詳しく調べます。この検査で、腫瘍の深達度やリンパ節転移の有無について最終的に判定されます。
手術前に推定されていたステージが術後に違ってくることもあります。
病理検査の結果は、術後1〜2週間程度で報告が出ますので、退院後の初回外来で病理検査の結果を説明します。
ステージII(一部)とステージIIIと診断された場合は、再発をできる限り防ぐために術後補助化学療法(3〜6ヶ月)行うことが推奨されています。詳しくは、病理検査の結果が出てから外来で説明します。
退院後の定期検査
退院2週間後ぐらいに外来診察させていただきます。
追加治療が要らない場合や追加治療を行なった後は、3ヶ月に1度の割合で血液検査を、半年に1度の割合でCT検査を行います。また、大腸内視鏡検査も行います。
当センターでは、かかりつけ医の先生と一緒に術後経過をフォローさせていだく地域連携パスを採用しております。