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患者さんとご家族へのお知らせ

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【大腸のおはなし66】新しい手術支援ロボット da Vinci SP

2023.10.28

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「ダビンチSP」とは

ダビンチSPは、インテュイティブサージカル合同会社が提供する手術支援ロボットの最新機種です。従来の手術支援ロボットとの大きな違いは、1本のアームから屈曲するカメラと複数のインストゥルメント(鉗子)を操作するシングルポート(単孔式)システムにあります。従来のマルチポートシステムでは複数ヵ所必要となる切開創(手術のきず)を1つに減らすことで、従来のロボット支援手術のメリットはそのままに、より低侵襲(身体への負担や痛みの軽減)かつ整容性(傷あとなどの美容面)に優れた手術を実現できます。

Da Vinci SPシングルポートインストゥルメント
4つの手術器具を1本のアームで制御

 ダビンチSPはロボットアーム1本に、鉗子(かんし)やカメラといった最大4つの手術器具を取り付けられる。これらの手術器具は直径2.5cmの筒状部品を通して体腔(たいくう)内に挿入される。「体表の切開創が最少1つで済み、より低侵襲の手術が可能だ。整容性(手術後の外観)の向上にも寄与すると考えている」とインテュイティブサージカル社長の滝沢一浩氏は話す。アームが1本の内視鏡手術支援ロボットが日本で発売されるのは初めてだ。

アームが1本の「ダビンチSPサージカルシステム」
インテュイティブサージカルが日本で販売を始めた。アームが1本の内視鏡手術支援ロボットが日本で販売されるのは初めて。(出所:日経クロステック、写真右:インテュイティブサージカル)
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 従来の内視鏡手術支援ロボットはアームが4本あるタイプ(マルチポート)で、1本のアームで1つの手術器具を制御している。各アームの手術器具は、異なる方向から体腔内に挿入される。そのため体表に複数の小さな穴を開ける必要があった。

 これまでも、穴を1つだけ開けて既存の器具で手術する執刀医はいた。「ただしこの手術は非常に難しいため、手術できる人はそう多くない。手術支援ロボットが役立つだろう」と自身も単孔式手術に取り組む札幌医科大学消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座教授の竹政伊知朗氏は話す。

 ダビンチSPでは、手術器具の先端部における動作の自由度を拡大し、1本の筒状部品から複数の手術器具を挿入可能とした。切開創が少なくなることに加えて、ロボットアーム同士の干渉に配慮する必要もなくなる。従来の4本アームのロボットを使う場合、例えば狭くて長い咽頭を対象とした手術ではアーム同士が干渉しないように調整が必要だった。

 アーム1本のロボットは、1つの穴すら開けない手術に応用できるかもしれない。肛門など体にもともとある穴から、内視鏡カメラや鉗子を体内に入れて病変を取り除く手術だ。まだ検証中であるが、有効性が確立されればこうした手術も一般的になる可能性がある。