【英語論文】ENSEMBLE-1の英語論文が掲載されました
2023.07.21
タイトルは、「Short-term outcomes of a prospective multicenter phase II trial of total neoadjuvant therapy for locally advanced rectal cancer in Japan (ENSEMBLE-1)」
日本における局所進行直腸癌に対するTNTの前向きの多施設共同第II相試験の短期成績(ENSEMBLE-1)
目的
局所進行直腸癌(LARC)患者に対する術前化学療法(TNT)の実施可能性と安全性を評価する。
方法
この前向き、多施設、非盲検、単群第II相試験は5施設で実施された。主な適格基準は、年齢≧20歳、肛門縁から12cm以内のLARC、根治切除が可能な診断時のcT3-4N0M0またはTanyN+M0であった。術前短期放射線療法(SCRT)5Gy×5日(計25Gy)+CAPOX(6コース)後、直腸間膜全切除(TME)が治療プロトコールであった。術前評価で臨床的完全奏効(cCR)が得られた場合は、非手術的治療(NOM)を認めた。主要評価項目は病理学的完全奏効(pCR)率であった。
結果
30人の患者(男性、n=26;女性、n=4;年齢中央値、62.5[44-74]歳;cT[T2、n=1;T3、n=25;T4、n=4];cN[N0、n=13;N1、n=13;N2、n=4])が登録された。最終解析では合計30人の患者が登録された。完了率はSCRTで100%、CAPOXで83%であった。TMEとNOMはそれぞれ20例と7例に実施され、6例でpCRが観察された(30%[95%CI 14.0%-50.8%])。pCR+cCRは13例(43.3%)で認められた。治療関連死はなかった。グレード3(CTCAE ver.5.0)以上の有害事象(20%以上)は、下痢(23.3%)、好中球減少(23.3%)などであった。追跡期間中央値は15.6ヵ月(10.5~22.8ヵ月)で、NOMの再発や再増殖はみられなかった。
結論
ENSEMBLE-1は、日本におけるLARC患者に対するTNTの満足のいくpCRとcCR、および忍容性の高い安全性を証明した。