抄録
目的:pT1大腸癌におけるリンパ節転移率とそのリスク因子を検討する.
対象と方法:2014年1月から2020年12月までに,当センターで外科的切除を施行した大腸癌患者1,245例のうち,病理組織学的にpT1と診断された186例を対象に,臨床病理学的因子とリンパ節転移の関連を後方視的に検討した.
結果:リンパ節転移を26/186例(13.9%)に認めた.多変量解析では,リンパ管侵襲陽性(HR 12.5[95% CI,4.76-32.8],p<0.0001)のみがリンパ節転移の独立したリスク因子であった.また,リスク因子がSM浸潤度(1,000μm以上)のみの症例のリンパ節転移を6/101例(5.9%)に認めた.
結語:pT1大腸癌におけるリンパ節転移のリスク因子はリンパ管侵襲陽性のみであった.これらの結果は,追加手術の適応を判断する際の有用な情報になり得ると考えられた.