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【パンフレット】大腸がん手術の術前から術後のながれ 

2022.09.25

病院 大阪急性期・総合医療センター 消化器外科 大腸癌 大腸がん 結腸癌 結腸がん 直腸癌 直腸がん ロボット 腹腔鏡 手術 ランキング 名医 賀川 義規大腸手術の術前から術後のながれ

大腸がん手術の術前から術後について説明してます。

このパンフレットは、ご本人やご家族に病状や治療につい てよりご理解いただくため作りました。

大腸がん術前や術後の注意事項について書いてあります。ご利用ください。

大腸手術を受ける患者さんへ 大阪急性期・総合医療センター 下部消化管外科 (大腸外科) 患者さんとご家族へ このパンフレットは、ご本人やご家族に病状や治療につい てよりご理解いただくためにお渡しております。 ご都合により付き添いが出来なかったご家族への説明にも ご利用ください。 また、入院中や退院後の病状の説明にも使わせて頂きます ので治療中はお持ちいただけましたら幸いです。 はじめに 大阪急性期・総合医療センターでは、年間220人以上の 大腸がんの患者さんが手術を受けています。 我々は、最新かつ安全で適切な治療によりがんを根治する 事を目指しています。安心して満足いただける治療を受け て頂くためにも、病名と病状を正しくお伝えすることが大 切と考えています。 大腸がんに関する一般的知識、治療方法、術式、合併症、 手術後の経過、退院後生活や外来通院について説明しま す。十分ご理解して頂いた上で、今回の手術を受けていた だければ幸いです。 これからお話します大腸がんに関する診断や治療に不安や 疑問などがある時は、「ゆっくり話を聞きたい」と外来担 当医やスタッフに遠慮なくお伝えください。時間にゆとり を持ってお話することで、ご理解を頂くことを我々は大切 にしています。 ホームページ 当センターの治療内容の詳細についてご案内しておりま す。是非、ご利用ください。 https://osaka-gs.jp/outpatient/lower/treatment/ 大腸がんとは 人の消化管は、食道~胃~十二指腸~小腸~大腸となって います。大腸はお腹を1周しており、場所によってそれぞ れ違う名前がついています。入口側から虫垂~盲腸~上行 結腸~横行結腸~下行結腸~S 状結腸~直腸~肛門と呼ば れています。この消化管の最終経路である大腸から発生し た悪性腫瘍が大腸がんです。がんの発生した場所により、 虫垂がん、盲腸がん、上行結腸がん、横行結腸がん、下行 結腸がん、S 状結腸がん、直腸がん、肛門管がんと分類し ます。 あなたの病気は( )がんです。 大腸がんの原因は、食生活や生活習慣にあると考えられて いますが、個々の原因を詳細に追求する事はなかなか難し いです。 がんは正常細胞の遺伝子の傷(変異)の病気である事がわ かっています。粘膜細胞は遺伝子をコピーする事で再生し ています。この再生過程でたまたま生じた遺伝子の傷(変 異)が積み重なって、がん細胞が生まれてくると言われて います。 遺伝子といっても、親から子へ遺伝する事とは異なりま す。親から子へ遺伝する大腸がんの頻度は3%以下と非常 に低くほとんどが心配いりません。この遺伝性腫瘍ついて は、同意を得た上で手術後に切除標本を用いてスクリーニ ング(MSI 検査)をさせて頂いております。 大腸がんの進行度と治療法 大腸がんの手術 大腸がんの手術は、がんの部分とその周辺のリンパ節を一 緒に切除します。当院では、基本的に腹腔鏡下手術または ロボット手術の低侵襲手術を行っております。 あなたの受けていただく手術は、 ( )です。 手術日は、( )月( )日です。 予想手術時間は、( )時間です。 予想出血量は、( )ml です。 手術中に術式を変更する可能性(人工肛門)があります。 手術の合併症 手術には、完全に予防することが出来ない危険がありま す。これらを合併症といいます。大腸がんの手術に際して は、主に以下の6項目があります。 (1)出血 手術中~術後(数日間)に、出血する可能性があり ます。 (2)感染 大腸の中には便があり、同時に大量の細菌も存在し ます。手術前に下剤できれいにしますが、細菌を完 全になくすことはできません。手術に際して、この 細菌が増殖して、お腹の中(腹腔内)や傷に膿のた まりを作ることがあります。その他、尿路感染、呼 吸器感染(肺炎)を併発することがあります。 (3)縫合不全 大腸のつなぎ合わせたところ(縫合部)が完全に治 癒しない場合があります。多くは術後1週間以内に 発生します。大腸は、①壁が薄い。②血の流れが少 ない。③細菌が多い。以上の3つの理由から、他の 消化管に比べてつながりにくいと言われています。 特に、低位前方切除術の場合、その頻度は全国的に も10%程度あり、緊急手術で人工肛門をつくる可能 性もあります。術後1週間、排便時に腹圧をかけて いきむことは避けて下さい。 (4)腸閉塞 手術の後、小腸の動きが悪かったり、腸管の癒着の ために通過障害を起こすことがあります。手術直後 も起こることがありますが、術後かなりの年月が経 過した後でも起こることもあります。症状として は、「腹痛」「嘔気・嘔吐」「ガスや便が出ない」 などで、レントゲンで確認します。腸閉塞の場合は 食事を止めて治療していきます。 (5)性•排尿機能障害、排便障害 S 状結腸がんや直腸がんの手術の際、がんの根治の ため、自律神経を同時に切除する場合があります。 この神経を切除すると、男性機能(射精•勃起)や、 排尿機能(尿がたまった感覚、尿を出すこと)が障 害されます。中には、自己導尿(1日3回程度管を 入れて、尿を出す)が必要な場合もあります。 S 状結腸がんや直腸がんの手術の後は、便の回数が 増えることや、便失禁を起こすことがあります。 (6)通常は発生しないが起り得る重大な危険性 (生命に関わる合併症) 重要臓器の障害、心筋梗塞・脳梗塞・脳出血・呼吸 不全・血栓症・肺塞栓症・肝不全・腎不全など 不測の事態:突然の血圧低下、呼吸停止など 以上に述べた合併症が生じた場合、緊急の処置や再手術を 必要とすることがありますが、その頻度は低く、必要以上 に恐れることはありません。生命に関する危険性もありま すが、その可能性は1%以下です。 手術前後の経過 結腸がんで5~7 日目退院、直腸がんで7~14 日目退院を 目指しています。 (病状によって異なることがあることをご了承ください) (1) 入院前 手術が決まれば禁煙しましょう。 お酒もほどほどにしましょう。 適度な運動で筋肉を維持しましょう。 (2) 手術前日 朝食まで食べて頂けます。 その後、手術準備が始まります。 寝る前に下剤と抗菌薬を内服してもらいます。 (3) 手術当日 術前 排便処置を行います。 飲水は手術3 時間前まで可能です。 手術室までは歩いて、または車椅子で行きます。 (4) 手術当日 術後 術後、酸素が投与されます。飲水は術後4時間以降で 可能になります。疼痛コントロールは点滴で行いま す。ベッド上では、寝返りなどして楽な体勢でお休み ください。また、尿道には尿道カテーテル(細長い 管)が留置されており、尿は自然に排泄されます。直 腸がんの術後は腹腔内や肛門内にドレーン(細くて柔 らかい管)が留置されています。術後の痛みは我慢し ないようにしましょう。鎮痛薬を準備していますの で、遠慮なくスタッフにお伝えください。 (5) 手術後1 日目 離床がはじまります。最初は看護師と一緒に歩いて みましょう。歩行できたら尿道カテーテルを抜去しま す。肺炎や腸閉塞などの術後合併症を予防するために も、歩くことは重要です。また、出来るだけ座ってい る時間を作っていきます。 (6) 術後2~6日目 食事を開始します。食事が取れるようになると点滴 がなくなります。鎮痛薬も内服に切り替えていきま す。また、合併症が発生していないか経過観察してい きます。創部は基本的に観察のみで消毒はしません。 留置されているドレーンは、術後3~6日目の経過を みて抜去していきます。 術後の注意点について (1) 術後の痛み 腹腔鏡手術やロボット手術などの低侵襲手術(傷の小 さな手術)で、術後の痛みは少なくなりました。術直 後、点滴で持続的に鎮痛薬を使いますが、内服が可能 になれば内服薬に切り替えてきます。創部の痛みは1 週間程度で軽減していきます。術後の痛みの強い時 は、注射薬や内服薬を使って痛みをとりますので我慢 せずに遠慮なくスタッフにお申し付けください。 (2) 術後の排泄 排便や排尿はできるだけ自然にしましょう。 術後1週間は、お腹に力を入れて気張ったり、いきん だりするのは避け便をもらさないように肛門を強くし めたりすることは避けましょう。腸と腸のつなぎ目 (吻合部)に余計な圧力がかかってしまうことがあり ます。特に、普段からいきんで排便や排尿する習慣が ある場合はご注意ください。 (3) 術後処置 創部は基本的に抗菌作用のある吸収糸(溶ける糸)で 糸が見えないように縫合(埋没縫合)しています。こ のため、通常、抜糸は行いません。吸収糸は通常2~ 3ヶ月で自然に吸収されます。ドレーンは絹糸(溶け ない糸)で固定されていますので、抜去する時には抜 糸が必要です。 (4) 食事について ゆっくりよく噛んで、食べ過ぎないようにしましょ う。入院中は、完食する必要なく半分から八分目ぐら いがちょうどです。気分がすぐれない時は、無理して 食事することなくスタッフにお申し付けください。 (5) 術後リハビリ 出来るだけ早くから歩くことで合併症の予防になり、 入院期間の短縮につながります。まずは、座っている 時間を長くしましょう。そして、どんどん歩きましょ う。日中はトイレまで歩くや病棟内を朝昼夕と1 日 3 周するなど、目標を立てて取り組んでみてくださ い。肺炎を予防するために、時々、深呼吸や口すぼめ 呼吸をして肺を広げてみてください。術後リハビリ は、理学療法士がお手伝いさせて頂きます。 (6) 術後の内服薬 毎日の整腸剤など、大腸の手術を受けたために飲ま ないといけないお薬はありません。もともと内服され ているお薬は病状に合わせて術後に再開していきま す。また、入院中の内服薬は当センターで処方させて 頂きます。 手術以外の治療(化学療法•放射線療法) 大腸がんの治療には、手術以外に化学療法や放射線療法が あります。直腸がんに対して、予後改善のために術前に放 射線治療や化学療法を行うことや、手術後に再発の可能性 を低くするために化学療法を行うことがあります。使用す る薬が、経口(飲み薬)や点滴など患者さまによって異な ります。これらの治療が行われる前に、再度、治療に使用 する薬や副作用について説明します。 がん相談支援センタ- がんの治療を受ける上での不安や悩みや療養生活などにつ いて、看護師やソーシャルワーカーが対応しています。ぜ ひご相談ください。 セカンドオピニオン 我々はセカンドオピニオンを推奨しております。希望され る場合、遠慮なく外来担当医にお申し出てください。診療 情報提供書や検査資料の提供など全面的にご協力させてい ただきます。 就労支援 がん治療と就労は両立する時代です。就労に関してお悩み のことがありましたら遠慮なくご相談ください。 消化器外科のホームページの就労者への取り組みでは、利 用できる公的支援制度についても紹介しています。参考に してください。(https://osaka-gs.jp/patient/worker/) 医学研究について 当センターでは、医学の進歩や治療開発のために全国の施 設と共同して臨床研究を行っています。治験や臨床研究で しか行えない最先端の医療も提供しております。担当医よ り説明があった場合は、内容をよく理解して頂き同意をし て頂いた上で参加頂ければと思っています。 退院後の生活について 退院後の基本的な生活に制限はありません。 ただし、退院時に病棟スタッフから特別な指示がある場合 は、それに従ってください。 (1) 運動 ウォーキングなど適度な運動に心がけてください。術 後2ヶ月ぐらいはお腹に力を入れすぎないようにしま しょう。 (2) 食事 普通通りの食事をしていただいて大丈夫です。ゆっく りよく噛んで食べるようにしましょう。また、術後1 ヶ月ぐらいの間は、暴飲暴食を避け八分目程度にして おくことをおすすめします。 (3) 入浴 手術の傷は、退院の頃にはほぼ治癒しています。シャ ワーだけでなく入浴して頂いても大丈夫です。創部も 軽く擦って洗って頂いて問題ありません。 (4) 仕事 退院後は、個々の体調に合わせて、また職業の内容に あわせて社会復帰していいただいて大丈夫です。およ その目安でありますが、術後数週間~2ヶ月ぐらいで 普段の生活が出来るようになります。 (5) 排便 約半年(3ヶ月~1年)不安定になります。トイレに 通う回数が増えて、便が軟らかくなる傾向があります が、通常は自然に軽快していきます。直腸がんの手術 の場合では、排便回数が10 回をこえる事もありま す。症状によっては、内服薬や外用薬で改善すること もありますので、お気軽にご相談ください。 退院後の連絡先 ■ 平日(月~金)の時間内(9 時~17 時) → 消化器外科外来(9番外来) ■ 時間外(土、日、祝日、平日17 時~翌日9時) → 救急外来へご連絡ください。 ■ 電話番号 06-6692-1201(代表) 病理検査について 手術で切除した大腸とリンパ節は、病理検査に提出し顕微 鏡で詳しく調べます。この検査で、腫瘍の深達度やリンパ 節転移の有無について最終的に判定されます。 手術前に推定されていたステージが術後に違ってくること もあります。 病理検査の結果は、術後2週間程度で報告が出ますので、 退院後の初回外来で病理検査の結果を説明します。 このパンフレットをお持ちください。 大腸がんのステージ(病理検査後) ステージII(一部)とステージIII と診断された場合は、再 発をできる限り防ぐために術後補助化学療法(3~6ヶ 月)行うことが推奨されています。詳しくは、病理検査の 結果が出てから外来で説明します。 遠隔転移 なし あり 1 臓器 2 臓器 以上 腹膜 転移 リンパ節転移 なし 1-3 個 4-6 個 7 個 以上 壁深達度 粘膜内 0 粘膜下層 Ⅰ Ⅳa Ⅳb Ⅳc 筋層 漿膜下層 Ⅱa 漿膜面 Ⅱb 他臓器浸潤 Ⅱc Ⅲc Ⅲa Ⅲb 退院後の定期検査 退院2週間後ぐらいに外来診察させていただきます。 手術後5 年間のフォローを行います。術後の再発フォロー は3 ヶ月に1度の血液検査、半年に1度のCT 検査を行い ます。また、大腸内視鏡検査も行います。術後5 年が経過 すれば再発の心配はほとんどありません。 また、大腸がん以外の病気で治療を受けてきた人は、退院 後もかかりつけ医で診察•治療を継続して下さい。 当センターでは、かかりつけ医と連携して定期検査を行う 地域連携パスを導入しております。ご活用ください。 退院後の定期検査は肝臓•肺•大腸を対象としています。こ れ以外のがん検診(胃•乳腺•子宮)は毎年受けるようにし ましょう。 おわりに われわれ消化器外科スタッフは、すべての患者さまにベス トの治療が提供できるように心がけております。わからな い事や不安な事がありましたら、遠慮なくご質問くださ い。皆様が少しでも安心して手術を受けられる事、1日も 早くこれまでの生活にもどって頂ける事を望んでいます。 お問い合わせ 大阪急性期・総合医療センター 消化器外科 〒558-8558 大阪市住吉区万代東3 丁目1 番56 号 電話番号 06-6692-1201(代表)
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