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【LARS:シリーズ4】低位前方切除後症候群(LARS)に対するお薬

2022.08.09

病院 大阪急性期・総合医療センター 消化器外科 大腸癌 大腸がん 結腸癌 結腸がん 直腸癌 直腸がん ロボット 腹腔鏡 手術 ランキング 名医 賀川 義規低位前方切除後症候群(LARS)に対するお薬

低位前方切除後症候群(LARS)とは

直腸癌の手術後は「排便回数が増える」「排便を我慢できなくなる」「便やガスが意に反して漏れる」などの排便障害が起こることがあります。これらは低位前方切除後症候群(LARS)と呼ばれており、低位直腸癌切除後に高確率でみられる機能障害です。LARSはQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を低下させる症状ですが、手術が肛門管や肛門括約筋機能に影響を与える手技を含むため避けることは困難です。LARSはコントロールすることが重要であり、そのために食事や生活習慣の見直しなどに加え、排便リズムなどを調節することを目的として薬物治療も行われます。

 

LARSに対して使用される主な薬剤

下表に示す薬剤などを使用し、排便コントロールや頻便に伴う肛門周囲炎に対する治療を行います。

薬品名(代表的な製品名) 効能・効果、副作用 用法・用量、備考
下痢対策 ロペラミド塩酸塩

(ロペミン®カプセル1mg)

下痢止め

腸の蠕動運動抑制に加え、腸管からの水分吸収を促進し排便回数を減らします

 

副作用:

便秘、麻痺性イレウス、不整脈、呼吸抑制など

1回2カプセル 6時間毎

排便状況に応じて服用回数を減らすなどの調整を行います

 

特定のタイミング(旅行で長時間の移動がある、食後の排便が気になる時など)に事前服用することで、排便コントロールを行うことも可能です

ポリカルボフィルカルシウム

(コロネル®錠500mg)

過敏性腸症候群治療薬

消化管内で水分を吸収し、消化管の内容物の動きを調節することで下痢や便秘などの症状を改善します

 

副作用:

発疹、口渇、腹部膨満感、吐き気・嘔吐など

1回1~2錠 毎食後

効果発現まで時間がかかる場合があるため、続けて服用することが大切です

ラモセトロン塩酸塩

(イリボー®錠2.5μg、5μg)

過敏性腸症候群治療薬

脳からの刺激が大腸に伝わるのを抑えて下痢を防ぐとともに、大腸の痛覚が脳に伝わるのを抑制して腹痛を抑えます

 

副作用:

便秘・硬便、腹部膨満感、胃腸症状など

1回1錠 1日1回

胃・直腸反射(食べ物が胃に入ったときに大腸が反射的に収縮して、便を直腸に送り出そうとする運動)が強い場合に有効とされています

皮膚炎対策 ジメチルイソプロピルアズレン軟膏

(アズノール®軟膏0.033%)

炎症性皮膚疾患治療薬

抗炎症作用、傷が治るのを助ける作用を持ち、炎症性皮膚症状などを改善します

 

副作用:

発疹、かゆみ、接触性皮膚炎など

1日数回 適宜

頻便や頻回な拭き取りによる肛門周囲炎に対して塗布します

腹部膨満感 ジメチルポリシロキサン

(ガスコン®錠40mg)

胃腸管内のガスに起因する腹部症状の改善

胃腸管内の小さなガスを合体させ体外へ排泄させやすくします

 

副作用:

軟便、胃部不快感、下痢、腹痛など

1回1~2錠 毎食後

 

カナマイシン一硫酸塩

(カナマイシン®カプセル250mg)

抗菌薬

腸内に作用し、ガス発生の原因となる腸内細菌を減らすことで腹部膨満感、ガス漏れなどの症状を改善します

 

副作用:

過敏症状(発疹など)、難聴、腎障害など

1回1カプセル 毎食後・寝る前

服用期間中は耐性菌発現のリスクなどを低下させるため、続けて服用することが重要です

 

生活リズムに合わせた薬剤の服用

「通勤時に便意がこないか不安」、「夜間便意で目が覚める」などの症状は、薬剤の服用タイミングを調整することでコントロールできる可能性があります。自身の生活リズムの中で最適な服用方法を探すことは、LARSをコントロールする上で重要です。

 

薬物治療を行う上での注意点

薬剤の効果には個人差があります。効果が得られないからといって自己判断で増量する、市販薬やサプリメントを併用することは、過度な便秘やイレウス(腸閉塞)などを引き起こすおそれがあります。処方された薬剤の用法・用量を守り、薬剤についての悩みは医師、薬剤師、看護師に相談して下さい。

【LARS:シリーズ】をご覧ください