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患者さんとご家族へのお知らせ

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【新型コロナワクチンとがん治療】ワクチンの有効性と安全性について

2021.05.27

がん患者さんとコロナワクチン接種に関する最初の報告

がんを患っている方に関して、ファイザー製ワクチンの抗体や安全性等についての最初の研究報告が医学雑誌 Lancet Oncologyに発表されています。(2021年4月27日)

Safety and immunogenicity of one versus two doses of the COVID-19 vaccine BNT162b2 for patients with cancer: interim analysis of a prospective observational study

【日本語要約】

ロンドンの3病院で、ファイザー社製のワクチン接種を受けたがん患者さん151人と健康な人54人に対して前向きに調査されています。

結果、がんを罹患していても、ワクチンを2回接種することで免疫がつくことがわかりました。

1回目接種の21日後、抗体(抗S IgG)が陽性だったのは健康な人では約9割であったのに対して、固形がん患者では約4割、血液がん患者では2割未満でした。

しかし、2回目接種を行い14日後には、健康な人は全員、固形がん患者9割以上、血液がん患者約6割と固形がんの患者では陽性率が健康な人と遜色がない程度まで上昇しています。

→2回接種で健康な人と同等に

また、ワクチンの効果は抗体だけではなく、細胞性免疫(T細胞)を誘導することにもある。T細胞応答に関しては初回接種後21日で、健康な人で約8割、固形がん患者では約7割、血液がん患者では半数が誘導されていました。

副反応につきまして、特に問題がなかったのが、1回目接種においてがんの患者さんで約半数、健康な人で約4割弱、2回目接種ではがん患者さん約7割、健康な人では約3割でした。

健康な人では2回目のほうが全身性の副反応が出やすいと言われているが、がん患者に関しては2回目の方が副反応が乏しい人の割合が増加していました。

がん患者で一番多かった局所反応は痛み、全身反応は順に倦怠感、頭痛(1回目・2回目とも)であり、頻度も程度も健康な人より軽い傾向でした。大規模研究ではないが、ワクチン由来の死亡例はなく、安全性に関しては固形がんと血液がんで違いは認められませんでした。

詳細は下記を参考にしてください。

https://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045(21)00213-8/fulltext